2014年12月30日火曜日

three albums of the year (2014版)

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もう、十年ほども続けている習慣があります。

私はずっと昔から、音楽好き、読書好きとして生きていくことに決めています。

自分が音楽を好きかどうかは、自分ではわかりません。さほど興味もありません。音楽好きとして生きると決めたことの前では、あまり重要ではないことです。

音楽好きとして生きるということは、多少苦しくても新しい音楽を買って、一生懸命に聞くことだと、私は定義しています。

苦しくても、と書きました。いくつかの意味を含んでいます。

一つめは、時間とお金のことです。
食事や睡眠、その他にかける時間やお金を削ってでも、新しい音楽を買って、聞こうと思っています。

二つめは、聞く対象の音楽のことです。
長年聞き慣れた、自分が好きだとわかっている音楽ばかりを聞かないようにしています。知らないアーティスト、知らないジャンルの音楽を買うわけです。

同じ音楽を繰り返してばかりいることを、私が、音楽好きであると考えないためです。
(そのアーティストや楽曲を好きだということでしょう。私にもそうした対象はたくさんあり、とても良いことと思います。)

音楽について書きました。読書もまったく同じ思想です。

それから、私は、音楽をアルバム単位で聞きます。
ちょうど、本の単位と同じような位置づけになると思うからです。私が、本を節の単位でシャッフルして読まないことと一致します。

ある程度の長さによって伝えられる何かを、私が信じているということです。

音楽アルバムの長さは、45~65分くらいでしょう。
CDの収録時間が74分である(細かい話をすべて省略して言っています)ことから、おそらく、自然に定まったものだと思います。

この45~65分とは、フォーマットが成果物を規定したということを考えたときに、最も成功した実例だと思っています。
本はどうでしょうか。

長くなりました。
何の話かと言いますと、私は毎年、その年に聞いた中で良かった音楽アルバムを三枚選ぶことにしているのです。

今年も、本当に良いアルバムをたくさん聞くことができました。筆舌に尽くしがたいものがあります。
私が、素晴らしいアルバムを紹介したいと思う熱意だけは、決して間違いありません。言葉がつたないだけです。

以下、
アルバムタイトル / アーティスト名
で表現します。

***

Seeing Tokyo / Marat Shibaev

こちらのアーティスト名に聞き覚えがなくても、Martin Schulte の名前を耳にしたことがある方は多いでしょう。同一人物で、Marat Shibaev が本名とのことです。

私の好きなミニマルテクノです。胸を打つ音楽です。
個人的な指標とでも言いましょうか、こうしたアルバムが素晴らしいことは、私が変わらず音楽を好きでいられることと等価です。

***

MOA / Neat's

2014年の、私の出会いです。
幸せな音楽を作られる方です。何か、嬉しい気持ちをたくさん受け取りました。

ずっと応援したいと思いますし、そうできたら私も嬉しいです。
そんな、嬉しい出会いです。

***

Whorl / Simian Mobile Disco

Simian Mobile Disco の Attack Decay Sustain Release に衝撃を受けた方は多いでしょう。私もその一人です。

振り返ると、ずいぶん遠くに来たものです。

ミニマルな音楽を考え始めた彼らが、それでいて、過去を否定しなかった作品だと、私は考えています。
熱く、感動的なアルバムです。

***

せっかくですので、2014年の音楽のことをもう少し書きます。

2014年は、つらい別れが重なる年でした。SOUL'd OUT、D、12012です。いずれも、私の人生に多大な影響を与え、ずっと着いていこうと決めていた方々です。

今までお世話になりました。ありがとうございました。

思えば、私もそれなりに音楽を聞いてきました。そうしたイベントが起こりはじめる時期なのかもしれません。

同時に、同じ文脈から、嬉しいこともありました。PIERROTの復活です。
諦めずに長く生きていると、良いこともあるものです。


終わりに


本エントリの前半のようなことはいつも考えており、個人的には、改めて文章にするようなことではありません。
なんとなく思い立って、書いてみました。

書くことで考えが整理されるとは、よく聞く話です。
今回の場合は、どうも、書いたことで何かが抜け落ちたような気がします。読み返してみても誤りはないのですが、違和感もあります。

書くことで考えが整理されるという感覚は、何か大切なものを削ぎ落として無視した結果、得られるものかもしれません。

これは素晴らしいことです。
だからこそ、文章を書く人には常に、試行錯誤する、という選択肢が存在するのです。

そんな一年でした。

さて、こちらの記事は、私が幾度となくご紹介させていただいているものです。

日常を支えるという非凡な能力 | notebookers.jp

私は日常が好きです。

これをお読みの方も、そうでない方も、一年間、私の好きな日常を少しずつ支えてくださり、ありがとうございました。
非凡な能力に思いを馳せつつ、終わりといたします。

2014年12月24日水曜日

ありがたがられたが

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経済学や統計学で、何かの研究結果や理論に対して、直感に反する、という評価がされているのをよく見ます。文脈によって、肯定、否定とあるようです。いずれにせよ、直感に反するかどうかを重要視しているようです。

基本的に、直感に反する事柄の方が、無批判にありがたがられてしまう傾向があるかと思います。

ところで、基本的という言葉を、私はよく使っているような気がします。
日常生活として基本的に問題ない、などです。ややもすると、トリッキーな用法でしょうか。

何といいますか、土台や基礎のようなものは意図していません。様々に複雑な要素をすべて織り込んで、結果として観測できる部分のことを、示そうとしています。

複雑さを頭の片隅に保留しながら、観測できたシンプルな側面を評価しようとしているわけです。

ドラッカーに学ぶブログ・マネジメント』(倉下忠憲)という書籍を読みました。

次のような一節があります。
それは、さほど完璧とは言えない市場メカニズムの、唯一信頼できる要素です。
経済市場においての、自然淘汰を評して述べられています。
いま、自然淘汰とは長期的な動学のことです。市場メカニズムを評価することは、遠い将来にわたる挙動を、直近に判断することです。

物事の長期的な振る舞いを、どれほどリアルに想像できるかということです。非常に独特の心構えで把握されることでしょう。
あまりに独特であるがゆえ、個人の性質が、市場メカニズムをどの程度信じているか、との問いで判明するのではないかとすら思ってしまいます。

書籍『ケインズかハイエクか』(ニコラス ワプショット)を読んだときにも、感じたことです。
同書では二人の経済学者、ケインズとハイエクの考え方が、対照的なものであるとして描かれています。

ケインズは、経済に強い力が干渉し、調整することを考えました。
ハイエクは、経済を調整するためには複雑な情報を扱う必要があり、市場メカニズム以外の主体には不可能であると考えました。

ハイエクの方が、市場メカニズムというものを信じていたことになります。

歴史的に見ると、いずれの主張とも、正解だったタイミング、誤りだったタイミングがあるようです。同書では、きちんとこのあたりも検証されています。実例を調べる限り、なるほどどちらが正しいとも言えません。
本エントリを続けるために、ここは確実に押さえておきたい前提です。極端にケインズ的、あるいはハイエク的な主張は、経済の実例を検証したところ、どちらとも言えないのです。
それから、ケインズも、ハイエクも、ケインズ的、ハイエク的な考え方にとりつかれていたわけではないはずです。シンプルに見える言葉がどれほどの思慮を抱えているのか、シンプルには判定できません。私の、言葉の綾のようなものです。

あくまで先の前提を押さえた上で、経済学の話題を離れてみるとどうでしょう。個人の性質を推し量るような、日常的な思想のことです。個人の思想ですので、さしあたってはどんなものでも構いません。

性格でしょうか、私などは、ハイエク的な考え方のほうに好感を持ちます。
観測できる世界には、複雑な物事がすでに織り込まれていること、複雑な物事は互いに作用しあい、長期的には自然に問題のない形になること、などを想像します。

何か問題があったときに、強い力で対策を当てて解決しようと試みるよりは、穏やかです。対策をしないわけですので、どちらかというと、直感に反する考えでしょう。
直感的な考え方は、字義通り、受け入れることが容易です。すると、直感的でない考え方を好んでおく方が、手持ちの選択肢を増やすことになりますので、何かと便利ではあります。

長期的というと、x → ∞ のときの f(x) の振る舞いのことに思いが至ります。
このあたりで、選択肢が二つしかないことの不備に気づくわけです。

やはりといいますか、考え方がケインズ的か、ハイエク的か、二種類のみだと、想定しきれない事態が起こってしまいます。

率直なところで、私が好むはずのハイエク的な考え方を見ます。
複雑なことが価格に織り込まれ、互いに作用しあった結果、市場メカニズムによってどんどん事態が悪くなっていく可能性が、当然あるはずです。x → ∞ で f(x) が発散するわけです。

発散する可能性もあるはずなのに、市場メカニズムによって長期的には問題ないはず、収束するはず、と思うことは、危険から目を逸らすことです。私は、ハイエク的な考えを好むと言いながら、思考を停止させていたのかもしれません。

ましてや、f(x) の振る舞いには、漸近する、振動する、超平衡する、カオティックになる、などもあります。
直感に反するからと、過度にありがたがるのも問題だということでしょう。

こうして、ケインズも、ハイエクも、もちろん私も、正しいのかどうかわからなくなりました。
いずれにしても、それらの複雑な物事を頭の片隅に保留しておくことができれば、日常生活として基本的に問題ないように感じます。


終わりに


本文中で、物事の長期的な振る舞いを想像することは、非常に独特な心構えによると書きました。
私は、x → ∞ のときの f(x) の振る舞いを調べることで身につけたことです。

2014年12月14日日曜日

2014年の<びっくら本> #mybooks2014

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こちらの記事を読みました。

R-style » 【企画】2014年の<びっくら本>を募集します #mybooks2014

今年も様々な面白い本に出会うことができました。

書籍に限らず、何かのコンテンツをひとつ紹介して、それについてのコメントを書くことが、私は得意ではありません。これは、私がブログを書く動機でもあります。

いきおい、各々の書籍に対してのコメントは簡素なものになってしまうものの、私が、この書籍を紹介したいと思う熱意には関係ないものです。

いずれの書籍も、熱意を込めてご紹介いたします。

以下、
『書籍タイトル』 / 著者名
で表現します。

訳者名、出版社、サブタイトル(のようなもの)は省略とさせてください。

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『無限の始まり』 / デイヴィッド・ドイッチュ

間違いなく、2014年で一番の本です。一番というのが何を意味しているのかは、自分でもわかりません。
読み始めたのは2013年の終わりごろで、読了まで半年くらいかかりました。

この先何年も読み返す本だと想像します。

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『ケインズかハイエクか』 / ニコラス ワプショット

経済学の本ですが、人間ドラマの本でも、現代社会の本でもあるようです。

ケインズと、ハイエクと、ケインズ的な考えと、ハイエク的な考えが描かれています。

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『あなたは今、この文章を読んでいる。』 / 佐々木 敦

文学の本、というのがよいでしょうか。歴史的な意味はありません。
メタフィクションの技法に着目し、それを進めた表現として、パラフィクションという概念を現代に提案しています。

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『哲学入門』 / 戸田山 和久

哲学の本です。間違ってはいませんが、誤解を生みそうな表現です。
哲学についての本ではなく、哲学の本だということです。

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『生物と無生物のあいだ』 / 福岡 伸一

当エントリにある本の中で、人にお勧めするとしたらこちらでしょうか。
ひとつの理由は読みやすいためですが、もちろん、多いに示唆に富む本です。

著者の福岡さんの「動的平衡」の考え方には、強く感銘を受けています。

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『文明崩壊』 / ジャレド ダイアモンド

古今東西の文明の興りと、崩壊について調べた本です。
多くの分野の知識を、ひとつのテーマに向かわせているという意味で、抽象的にも興味深い本です。

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『数覚とは何か?』 / スタニスラス ドゥアンヌ

視覚、聴覚などと同じ位相に、数覚の存在を提案した本です。
数学と、認知科学の知識が織り込まれています。認知科学の本で、扱っているテーマが数学、といった感じでしょうか。高度な数学の知識には指向していません。

数学的、といったときに想起される独特の感覚について、手ごたえをもって考えられるようになります。

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『コンテナ物語』 / マルク・レビンソン

コンテナ輸送にまつわる話です。
広く言えば、世界が変わった場面が描かれています。狭く言えば、人間ドラマが描かれています。

世界が変わるところと人間ドラマとが、似ているということです。

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『タテ社会の人間関係』 / 中根 千枝

お勧めしたい本の二冊目です。

誰しも毎年一冊くらいは、もっと早く読んでおくべきだった、と思う本があるものです。
私はこの本でした。


終わりに


タイトルに #mybooks2014 を入れるというのは、いったい何のことなのでしょうか。
#で始まる行はコメントアウトであることが多いはずです。

それから、「ビッくらポン!」には、私は当たったことがありません。
周囲の人が当たっているのはよく目にします。機械がない席に通されることも多いです。