| 『エンジニアのための時間管理術』 (Thomas A.Limoncelli) |
タスク管理の視点
本書の大部分を占めるのは、著者が「サイクルシステム」と名付けたタスク・スケジュール管理の方法です。
本書は2006年に初版が著されているようですが、考え方としては、現在でよく言われているタスク管理手法とかなり近いものです。
その一端をご紹介します。
タイムマネジメントに関するものをすべて1か所にまとめる。いわゆる、「ここになければ、どこにもない」の話です。現在でも非常に有効なアプローチです。
もう一つ引用いたします。
今取り組んでいることに頭を使い、それ以外のことには外部ストレージを使用する。これも、「脳のリソース」といった表現で有名です。
関係ありませんが、コンピュータに関わる人を対象とした本ですので、「外部ストレージ」といった言葉が説明なしで使えて便利だと思いました。
それからもう一つ。
定期的に行うことに対しては日課(ルーチン)を定める。早くもタスクシュート的な考え方も登場してきています。(中を見ると、完全にタスクシュートとまではいっていないようです。)
さて、本書では、このように現在のタスク管理と相似したシステムが語られているわけですが、それゆえ、本書のシステムを詳しく説明することは単にバリエーションを増やしているだけに過ぎない可能性が高いです。
タスク管理以外の視点
しかし、それはタスク管理に限った話です。
本書で語られるのはそれだけではありませんし、むしろそちらの方が、本書をユニークにしています。
そのすべてをここで紹介すると、本書と等しい文字数がかかってしまいますので避けますが、すべての原理となる考えが「はじめに」に載っていたので、引用しておきます。
いいですか、筆者が言いたいのは、システム管理が仕事ではないということです。それはライフスタイルなのです。私たちのライフスタイルを私たちの言葉で述べ、私たちの問題を解決するタイムマネジメントの本が必要なのです。このことを象徴する例としては、「タイムマネジメントの結果空いた時間をどのように使うか」という話があります。なかなか独特の視点だと思います。
その他のこと
その他、気になった考え方をいくつか拾っておきます。
ストレス管理の話です。
歯磨きもさぼろうと思えばさぼれますが、あとで痛い目を見ます。同様に、精神衛生のための活動もさぼろうと思えばさぼれますが、あとで苦しむことになります。この意味では、精神的に余裕があるときに「精神衛生のための活動」を模索しておく必要があるかもしれません。
もう一つはメモの話です。
特定の時間に特定の場所で顧客と会う約束をしたときは、相手の目の前でそれを記録することで、あなたが約束を重んじていることを示す。メモすることの重要性は論を待ちませんが、ビジネスパーソン的な視点では、このようなことは非常に重要だと思います。
つまり、きちんとしている「ように見える」ということです。これもなかなか、「時間管理」にばかりとらわれていると出てこない考え方だと言えます。
終わりに
どうも紹介の仕方が変化球な気がしてならないのですが、一生懸命やりました。