チューリングは一度母親に軍関係の研究をしているとだけ話したことがあった。それを聞かされた母親は、政府の仕事をしているというのに、相変わらず身なりに無頓着で髪もぼさぼさな息子にがっかりしただけだった。
『暗号解読(上)』(サイモン・シン 著, 青木 薫 訳)
キングジム社のポメラに、DM30という機種があります。2020年4月現在、発売日としては最新の機種です。
DM30|デジタルメモ「ポメラ」|キングジム
久しぶりに公式ページを見たところ、販売終了した旨の宣言がありました。以後は、販売店に残っている在庫が購入できるのみとなるのでしょう。
DM30は、2018年6月に発売されました。発売と同時に、飛びついて購入したのを覚えています。以来、使い続けており、何一つ不満はありません。最高の、書くための道具です。
ポメラシリーズには、DM200という機種もあります。
DM200|デジタルメモ「ポメラ」|キングジム
2016年10月の発売です。DM200は、2020年4月現在、メーカとしても販売を続けているようです。DM200の方が先に発売していたにもかかわらず、です。長く売れ続けているということかと思います。
しかし、DM30は本当に素晴らしい道具です。私は、二年近く使い続けている、おそらく数少ないユーザになるのでしょう。DM30の素晴らしさは、私は、二年近く使い続けないと感得できないのではないかと思います。 日に日に、DM30を素晴らしいと思う度合いが増しているように感じます。今まで気づかなかったことに気づくようになる、ということは、ほとんど、生きることのすべてです。
DM30で文章を書くことは、PCで文章を書くことでも、手書きで文章を書くことでもありません。DM30で文章を書くこととしか言いようがありません。強いて言えば、ポメラで文章を書く、でしょうか。
極端なことを言えば、DM200で文章を書くことは、ポメラで文章を書くことではありません。PCで文章を書いているのに近いと言ってよいでしょう。それが便利な場面は、もちろんたくさんあります。DM30とDM200と、いずれも私はずっと使い続けています。
DM30とDM200とで文章を書く体験は、それぞれまるで違ったものなのです。比較できるものではありません。
DM30の販売が終了してしまって、この感動を理解できる人が限られてしまうのは残念ではあります。でも、思えばポメラの歴史は、一部の人の熱烈な支持から始まったのでした。
「ポメラ」開発担当者インタビュー | POMERA 10TH ANNIVERSARY | ファイルとテプラのキングジム
これでよかったのかもしれません。
私も身なりには無頓着な方です。
DM10から、2008年に始まったポメラの歴史は、途中、DM100、DM200という突然変異を挟みながら、素晴らしく続いてきました。DM30はすでに、私の想像を超えた最高傑作です。
DM30への進化は、私には想像もつかないものでした。また次に、想像もつかない進化があるのでしょうか。
あっても、なくても、私はポメラを使います。
終わりに
DM100、DM200という突然変異たちも、私は大好きです。
誰にとっても便利で、素晴らしい、書くための道具です。DM200で書くことはポメラで書くことではない、とはさすがに言いすぎたものの、改めて私が語ることもないほどよい道具なのは、間違いありません。きっと多くの方がお持ちなのでしょうし、いうなれば、私が冷蔵庫や電子レンジの便利さについて語ることがないのと同じです。
もう手に入らなくなってしまう、DM30のことを語っておきたいと思いました。
DM30の電子ペーパーディスプレイが、セピア色に見えるようです。
こちらのクルマは、なかなか調子が出ないし、古い部品は交換しないといけないし、掃除も大変、オイルも遠くから取り寄せる必要があって、もの凄く面倒です。でも、私はこちらの方が好きです。
『キャサリンはどのように子供を産んだのか? How Did Catherine Cooper Have a Child?』(森 博嗣)