2022年12月31日土曜日

six albums of the year (2022版)

2022年は、キングジムのポメラDM250が発売になりました。2018年のDM30以来のポメラです。何から何まで、非の打ちどころのない、素晴らしいポメラです。ポメラの新型が発表される時代をリアルタイムに生きることができて、私は本当に幸せに思います。リリースの発表を目にしただけで、背筋がぞくっとするような、一人の部屋で歓声を上げてしまうようなものは、そうそうありはしません。

PFUの HHKB Professional HYBRID Type-S を購入しました。日本語配列の、墨のキー刻印ありモデルです。普段、多くの時間は REALFORCE R2 の PFU Limited Edition を使っています。いろいろなアプリケーションの操作には、REALFORCEのキー配列の方が都合が良いことが多いためです。他方で、ただただ文章をタイプしたり、コマンドライン操作したりするのには、HHKBの打鍵感とキー配列がとても適しています。今では、ノートPCにキーボードを2つ同時につないで、常に併用しています。

Ankerのイヤホン Soundcore Space A40 を手に入れました。私にとっては初めての、アクティブノイズキャンセリングのモデルです。それから、初めて、完全ワイヤレスのモデルを外出中でも使うことにしました。Space A40 は、Anker Soundcore シリーズの上位機種 Liberty 4 よりも、見た目がしゅっとしていて私は好きです。

Space A40 の見た目もよく、ケースも格好良く、ノイズキャンセリングもよく、外出するのが楽しくなった一年でした。私には大変に珍しいことです。

それもあってか、今年はAnkerの熱心なファンになりました。充電することに興味が出てきて、関係する規格や仕様について、いろいろと勉強しました。Ankerの新技術、GaNPrimeを搭載した充電器 Anker 735 Charger を導入して、使い始めています。現代では、電子機器の充電に関するさまざまな説明を避けては通れないため、一度でも理解しておくとずいぶんと楽になります。便利なものです。勉強してみて気づきました。

DANNER の靴のファンになった一年でもありました。きっかけはよく覚えていません。DANNER SHANIKO を履き始めています。自分は靴に興味がないと思っていました。気に入る靴に出会っていなかった、というか、気に入る靴を探そうと思ったことがなかったかもしれません。SHANIKOのような靴を見たことがありませんでした。とても気に入っています。

気に入った靴も手に入って、外出するのが楽しくなった一年でした。新しいものを使い始めても、新しい発想があります。変わらない感情もあります。書籍『新装版 ナ・バ・テア None But Air』(森 博嗣)には、次のようにありました。
一時間くらいそこで過ごして、また戻っていく。戻っていくときには、新しい飛び方のパターンを頭の中で繰り返していた。今度、機会があったら試してみよう、と考える。そういうアイデアが、最終的にどうなるのか、僕はよくわからない。実際に戦っているときに、そんなことを思い出す暇はないからだ。けれど、あとあとになってよく思い出してみると、知らないうちに新しいパターンが採用されていたり、それに近いものが応用されていることが多かった。だから、ちゃんと取り入れているのだ。
何の話かといいますと、私は毎年、その年によかった音楽アルバムを六枚選ぶことにしているのです。
さっそく、始めます。



『ashbalkum』 / Salamanda

知らないうちに新しい音楽を聴いています。素晴らしいことです。



『折々』 / 開歌-かいか-

一枚のアルバムというのは、本当に唯一無二のものです。



『Functional Designs』 / Deepchord

新しいアイデアがあったり、それに近いものが応用されています。



『The Soft Cave』 / テンテンコ

ひとかたまりの倍音が、音像が、いま、ここにあります。それ自体に大きな意味のあることです。



『cat & town』 / Nekomachi

この一歩一歩が、一枚のアルバムになります。



『Hotel Insomnia』 / For Tracy Hyde

それで、一枚のアルバムというのは唯一無二のものになるのでしょう。山腹なのです。


終わりに


毎年、新しいアルバムを懸命に追いかけて、聴いています。リリースを目にしただけで歓声を上げてしまうようなタイトルもあれば、自分で調べて見つけ出して、何度も聴いてみてから少しずつ素晴らしさがわかってくるものもあります。どちらも素晴らしい体験です。

今年は新しい万年筆を買いませんでした。去年に引き続き、ラミーの CP1(mattblack)、Safari(vista)、Lx(ruthenium) の3本を併用して使っています。万年筆を使わなくなったわけではなくて、3本とも、毎日欠かさず、変わらずに使い続けています。Evernoteとか、名刺サイズの情報カードとか、ダイアログノートとか、変わらずに使い続けているものもたくさんあります。もとい、変わらずに使い続けているものの方が、おそらくたくさんあります。素晴らしい体験です。

変わらずに使い続けていても、新しい発想はいつもあるものです。だから、ちゃんと取り入れているのです。書籍『禅とオートバイ修理技術〈下〉』(ロバート・M. パーシグ 著, 五十嵐 美克 訳)には、次のようにありました。
登山をするときは、欲を出さず、できるだけ疲労を避けるのが鉄則だ。速度はその時どきの調子によって決める。調子が良ければ速く、悪ければペースを落とす。不安と疲労のバランスをうまくとらなければならない。そして先のことは考えない。この一歩一歩は、ただ単に目標に至る手段ではなく、それ自体に大きな意味を持った行為なのだ。この葉っぱは縁がギザギザしている。この岩はもろそうだ。雪渓に近づいているが、この場所からではそれが見えない。こんな具合に、いま、ここに注意を向けるべきだ。未来に何らかの目標を見据えて、ただそのためだけに生きるのは浅薄だ。生命を支えているのはこの山腹であって、頂ではないのだ。ここなくして人の成長はありえない。
生命を支えているのは山腹です。一歩一歩が、知らないうちに新しいことに応用されて、一年が経っていくものです。私はそれを日常と呼びましょう。

私は日常と非日常が好きです。日常と非日常は、互いを含んでいます。私の好きな記事をご紹介します。

日常を支えるという非凡な能力 | Notebookers.jp

私のエントリをお読みの方も、そうでない方も、私と関わりのあった方も、そうでない方も、私の日常と非日常を、それぞれ等しく形作ってくださっています。

一年間、私の大切な日常をありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

2022年12月30日金曜日

2022年の<びっくら本>

本を読むか、音楽を聴くかして日常を過ごしています。どちらも、苦もなくできるためです。本を読むことはよくても、漫画を読むのは苦手です。写真と文章が渾然一体となったページ構成の本を読むのも苦手です。苦手というか、読むことに多大な努力が必要になります。私は雑誌が好きでよく読むのですけれど、写真を飛ばして文字だけを読んでいるような感じです。活字の中でも、字体と文法を見ている気がします。

音楽を聴くことはよくても、動画や、映画を見ることが苦手です。見ることに多大な努力が必要になります。音楽のライブにはよく足を運ぶのですけれど、音だけを聴いているような感じがあります。メロディより和音を聴いていて、和音より調性を聴いていて、調性より拍子を聴いていて、それらすべてより倍音を聴いている気がします。

書籍『書くことについて』スティーヴン・キング 著, 田村 義進 訳)には、次のような一節がありました。
この詩に職業意識が備わっているのも好感を覚えた理由のひとつだった。詩を書く行為は(小説でもエッセイでも同じだが、)神話的な啓示の瞬間と同様、床掃除とも多くの共通点を持っているということを、それは示唆していた。『ア・レーズン・イン・ザ・サン』という戯曲のなかで、登場人物のひとりはこんなふうに叫ぶ。「空を飛びたい! 太陽にさわりたい!」それに対して、その妻はこんなふうに答える。
「そのまえにタマゴを食べなさい」
倉下忠憲さんのメールマガジン、「Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~ 2022/12/19 第636号」を読みました。

メルマガ | R-style

遊びと人生を変えるもの /2022年の読書を振り返る|倉下忠憲|note

私も、今年に読んだ本から、印象に残ったものを挙げていきたいと思います。私もびっくら本と呼ばせていただきます。

本を読むのはよいものです。本には活字が書いてあるからです。



『メタマジック・ゲーム ―科学と芸術のジグソーパズル』(ダグラス・R. ホフスタッター 著, 竹内 郁雄 訳, 片桐 恭弘 訳, 斉藤 康己 訳)

文法が厳密に折り重なるところに、思考が、生命の躍動があります。



『禅とオートバイ修理技術〈上〉』『禅とオートバイ修理技術〈下〉』(ロバート・M. パーシグ 著, 五十嵐 美克 訳)

生命を支えているのは、いま、ここの山腹です。頂ではありません。



『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(マックス・ヴェーバー 著, 大塚 久雄 訳)

個別のすべてに全体があるのです。



『数学ガールの物理ノート / 波の重ね合わせ』(結城 浩)

学ぶことと、学び続けることがあります。



『NOISE 上 ―組織はなぜ判断を誤るのか?』『NOISE 下 ―組織はなぜ判断を誤るのか?』(ダニエル・カーネマン 著, オリヴィエ・シボニー 著, キャス・R・サンスティーン 著, 村井 章子 訳)

個別のすべてに全体があるから、時間がかかります。



『シティポップとは何か』(柴崎 祐二 編著, 岸野 雄一 著, モーリッツ・ソメ 著, 加藤 賢 著, 長谷川 陽平 著)

時間がかかるのはよいことです。



『トーマの心臓 Lost heart for Thoma』(森 博嗣 著, 萩尾 望都 原著)

時間をかけて揺れ動きます。



『意味の論理学 上』『意味の論理学 下』(ジル・ドゥルーズ 著, 小泉 義之 訳)

個別のすべてに全体があります。論理があるということです。



『グレン・グールドは語る』(グレン・グールド 著, ジョナサン・コット 著, 宮澤 淳一 訳)

語り尽くせないところに論理があるのです。



『愛書狂の本棚 異能と夢想が生んだ奇書・偽書・稀覯書』(エドワード・ブルック゠ヒッチング 著, 高作 自子 訳)

本がたくさんあるから、本棚です。


終わりに


文法が崩れた文章を、私はうまく読むことができません。調性や拍が崩れた音楽は、苦もなく聴くことができます。なんだか難しいものです。私の考えすぎで、読書と音楽とは、別に関係なかったような気もしてきました。考えすぎはよくありません。本でも読もうと思います。