2013年12月23日月曜日

あらゆる計画と実行で

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抽象的な議論でも、具体的な反例をもとにすることで、発展していくことができるようです。着実に、考えを進めていくことができます。数少ない有力な方針といっていいでしょう。

私はいろいろと、抽象的なことに興味を抱きます。長い期間にわたって、頭から離れない主題があります。

そういったことは、たいてい、文章の形に直しておくと、取り扱いがしやすくなります。

文章とか言葉といったものは、わりと抽象的なものではあります。いま相手にしたいのは抽象的な主題たちですので、それらにとってみれば、文章とは近いレイヤにあるものです。
もともと、抽象的な主題というものの多くが、文章の形をしているためかもしれません。

文章の形をしている抽象的な主題にとって、文章は抽象的ではないのです。
もとの抽象的な主題が文章でないことも、やはり多くあるでしょう。こちらには十分に注意されたいものです。

つかみどころのない話でしょうか。

このところ、ずっと考えていることを書きます。
私たちの世界には、設計という言葉があります。プロットがあります。予定と実績という考え方があります。チェックリストというものもあります。

共通して流れる思想を、これらからうかがうことができます。
物事は計画と実行という異なるフェーズを内包すること、さらに、実行は計画の通りには決してなされないことです。

世界には、そういった思想がおびただしくあります。あらゆる分野にあります。あまりにも普遍であるために、立ち止まることすらない人もありましょうか。予定と実績が一致しないことを前提として、その差異を測定しようとしている人々のことです。

私には、それほど自明なことと思えませんでした。どうして、計画と実行には差異があるのでしょうか。それも、この世界のあらゆる局面においてです。
何か、差異についての一般的な、形而上学的な原理があるように思えてなりません。端的に言えば、計画と実行に必ず差異が起きることの説明です。

はじめに、次のようなことに思いいたりました。

計画と実行との差異が、ただ一度の例外もなく、必ず生まれることなのだとします。実際、かなりもっともらしいことでしょう。

必然に起こることであるなら、そこには理由などないと考えても良さそうです。

場合によって成立したりしなかったりするのであれば、それぞれをもたらした理由を考察してみることができます。
いつでも成立するのなら、一切の理由なく、ただ厳然と存在していると考えられるのです。計画と実行とは、この世界に創造された瞬間に必ず不一致となるわけです。

ここまでは問題なさそうです。
計画と実行とは、存在した瞬間に必ず差異があって、それには理由などないのです。

それでは、発生した瞬間に計画と実行とに差異が生まれるのはなぜか、すべからく考察されるべきです。

この世に現れた瞬間から差異が生まれてしまうなら、それらは、まるで似ていないものと考えるのが自然なように思えます。
これは重要な気づきです。計画と実行とは、少しも似ていないのです。

決して一致せず、少しも似ていないとは、どういった状況になるのでしょう。

計画は、ふつう、文字の形をしています。表や絵のこともあります。総じて、紙の上に情報として表現できるような、そのあたりのレイヤに属しています。
実行は、人やものの動きです。紙の上のレイヤにはいません。

計画と実行とでは、もともとの存在の枠組みがまるで異なっています。生まれ出て、立脚するレイヤが違います。そうして、不一致となるわけです。

ひとつ、結論になりそうなものが出ました。

ところが、ここには反例を作ることができてしまいます。

計画に似せるように、実行を紙の上のレイヤに変換することができるのです。
実際に人やものが動いたことを無視して、実行も、紙の上の情報として扱うことが可能になります。

そのように実行を書き直し、レイヤをそろえてみても、やはり、計画と実行は不一致となります。立脚するレイヤの違いでは、説明がつきません。

反例は他にも作れます。

対象としたい実行が、何かのまとまった文章を書くことだとします。あらゆる実行を含めて考えていますので、そういうこともあります。
該当する計画は、文章のプロットや筋書きのことになります。

すると、計画も実行も、はじめからずっと同じ紙の上のレイヤに存在しています。実行を変換する必要すらありません。
それでも、計画と実行は一致しないのです。文章を書いてみたら予定外の方向に進んでしまった、といった話を耳にしたことのある方も多いことでしょう。自身で体験した方もあるでしょう。

計画と実行で立脚するレイヤが異なるという結論は、大筋で棄却せざるをえないようです。
あらゆる計画と実行で共通して確認できる性質があるかどうか、探っていく必要があるのでしょう。

しかし、このような手続きのもとで、考えを進めていくことができます。

書籍『ブラック・スワン』(ナシーム・ニコラス・タレブ)に、スローガンになる言葉がありました。
反例を積み重ねることで、私たちは真理に近づける。裏づけを積み重ねてもダメだ!
反例は重要なもののようです。


終わりに


途中に出てきた、計画と実行とが少しも似ていないところは、可能性があるような気がします。