2013年3月18日月曜日

数字がもたらす現象

Clip to Evernote
先日、私のタスクリスト好きを知る人と会話をしました。

詳細は省きます。ただ、何日も経った今でも頭から離れない、その人が発した問いがあります。
それは「タスクリストって、何行が良いの?」というものです。
あまりに深遠なテーマと感じられたため、その場では宿題にさせてほしいと回答して事なきを得ました。本エントリではそれについて考えてみます。

もう少し舞台設定が必要です。

「何行が良いか」との質問から自明なように、そのタスクリストは紙とペンで作成されるものです。つまり、何らかのソフトウェアアプリケーションを通して書き込まれるものではありません。普通、そのときには行数に際限がないためです。

当時私たちが話題にしていたのは、タスクリストにおなじみの行頭の四角と下線がはじめから印字されている形式のものです。切り取れるメモとか、ふせんとか、手帳のページの隅にとか、いろいろな場所で目にすることでしょう。
その、印字されている四角と下線とは何行が良いのかが、今回の話だというわけです。

さっそく考えていきます。

そういったタスクリストの用途を見ていくことがとっかかりとなるはずです。

話題にしているようなタスクリストは、長期間にわたって参照され、編集され続けるような目的には使いにくかろうと思います。そちらはソフトウェアで実現するのが良いのでしょう。

自然と、作成されてから短期間でその寿命を終えるような使途になってきます。これなら、あまり状況に依存せずに参照や記入を行える点で、ソフトウェアよりありえると思います。

ここで言う短期間は、一日程度か、あるいは数時間以内と考えられます。それによって場合分けができそうです。
手帳の隅に印刷されたタスクリストなら、参照されるのは一日中と想定されます。切り取れるメモやふせんの形式なら、一日中でも、また数時間でも構いません。

ここが、タスクリストの行数を考える上で一つめのマイルストーンになります。すなわち、それが参照されるのは一日中か数時間以内かのいずれかだということです。

順に見ていきます。まずはそのタスクリストを一日中参照する場合です。いわゆるデイリータスクリストの扱いになることでしょう。

ここから、行数の議論に入るにはどのようなアプローチがあるでしょうか。

ぱっと思いつくのは、時間から考える方法です。一日の作業時間が8時間であるなら、タスクを一時間に一つ掲げることにして、タスクリストは8行が良いとするわけです。

思いついてはみたものの、これはあまり現実的ではありません。もともと、頭の四角と下線で形作られたタスクリストには時間の概念が存在しないためです。
タスクどうしに、相対的な意味での順序はあります。しかし、一つ一つのタスクがどれほどの時間を要求するかは、普通、タスクリストでは扱うことができないのです。

なにやら、タスクリストと時間に関する話はかなり深くなりそうな気がしてきましたので、別の機会に回すことにします。

他方、デイリータスクリストの作成時間に着目することはできるでしょう。紙とペンで作成するわけですから、ここには限界値があるはずです。
一日の始めにリスト作りに充てられる時間はそう多くなく、せいぜい5~8分程度でしょうか。

項目を1つ挙げるのにかかるのは30秒くらいでしょうが、それはコンスタントに8分も続かないような気がします。均せば1.3[項目/分]あたりに落ち着くように思います。
すると、ここでは6.5~10.4の項目が挙げられることになります。平均値は8.45ですので、印刷されたリストの行数は9~10行が妥当ということになるでしょう。

それから、ここでのタスクリストはやるべきことがどこかに消えていかないために作られるものです。というと、有名な7プラスマイナス2の話があります。この数字は使えそうです。
人が覚えていられない部分をタスクリストに頼るわけですから、その上限かやや多いくらいの項目が書き出せると具合が良さそうです。
然様なら、タスクリストの印刷は9か10行あるとちょうど良いことになるわけです。

次に、タスクリストを参照するのが数時間であるパターンを見てみます。
ここまでの話がデイリータスクリストなら、ここからはタスクを分解することの話になります。
タスクを分解しようと書き付ける先として、行頭の四角と下線の印字されたリストを使用するわけです。ある意味、チェックリストのような使い方と言えるかもしれません。
いま、タスクリストの行数を決めようとするなら、とりもなおさずそれは一つのタスクがいくつに分解されるかを考えることに等しくなります。

これについては『スマホ時代のタスク管理「超」入門』(佐々木正悟、大橋悦夫)に明快な説明があります。すなわち、一つのタスクに含まれる「やること」が一つになるようにすることです。

同書の例では「上司に企画案をメール」というものが出てきます。これが次の四つのタスクに分解できるそうです。
□上司に提出する企画案をまとめる
□企画案をメールに添付する
□メールを作成する
□上司にメールを送る
上で、チェックリストのような使い方だと書きました。その視点から見るとこの分解は少し粗いような気がします。同書も、「これで少しは手がけられそうですがまだ不十分でしょう」と続いています。
私なら、大まかに着手するようなフェーズと、確認して完了とするようなフェーズを上記の4つの各々について掲げたいところです。都合、タスクは8つに分解されます。

さて、「上司に企画案をメール」は一つのタスクとしてはちょうど良い文字数でしょう。手書きのタスクリストに、これより長く複雑な文は書かれないと思うのです。
同じ理屈で、これより多くの「やること」を含むことも考えにくいです。

したがって、このときのタスクリストの印刷された行数は8くらいが良いことになります。

ゴールが見えてきました。
ここまでに現れてきた数字の平均を大雑把に求めると、9.2行となります。

以上より、ふせんや切り取れるメモ、手帳の隅などに印刷されたタスクリストの行数は9行が適当だと結論づけます。


終わりに


こういったことを考えるのはとても楽しいです。

本エントリでは結論を出すために無茶をしている箇所が多々あります。
数字が現れると何やらそれらしく見えてしまう現象には、いつも注意が要るのです。