2012年7月12日木曜日

方程式じゃない

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世の中には、クイズだとか、なぞなぞだとか、パズルだとか、そういったものが存在します。おそらくとても長い歴史を持っており、詳しい人に聞いてみれば、今書いた三つの単語の間には細かく、明確な差があるのでしょう。

多くの方と同様に、私もこういったことに対して詳しくはないものの、決して嫌いではない、との立場にいます。

今回はそんな話です。


なぞなぞとクイズ


一般的に言って、なぞなぞとクイズの違いは「知識を必要とするかどうか」に拠ると思います。もちろん、「知識を必要とする」のはクイズの方です。

クイズに知識が必要なことについては、とりたてて問題はありません。クイズは知識を問うものであり、だいたいにおいて知識があれば回答できるものです。

例えば、「日本で一番北にある県は?」といったら青森県ですし、「日本で一番南にある都道府県は?」といったら東京都なわけです。

もとい、この例は少し違いました。

「義経のお妾さんの名前は?」といったら静御前なわけです。

これは問題ありません。


なぞなぞとは


厄介なのは、なぞなぞの方です。

上でクイズを「知識を必要とするもの」と定めてしまったので、なぞなぞの定義は、残った「知識を必要としないもの」になります。

例えば、「上は洪水、下は大火事、なんだ?」といったらお風呂なわけですが、このお風呂はなかなかに古風です。
普通の感覚でお風呂を想像してしまうと、このなぞなぞはさっぱりわからないことになってしまいます。

すると、この場合「お風呂には、下で火を燃やすタイプのものが存在する」との知識がないと、これがなぞなぞであるにも関わらず、回答できません。

これは矛盾です。
従って、「なぞなぞは知識を必要としないものである」との前提が誤っていることになります。

これを背理法といいます。


知識が必要


実は、なぞなぞの厳密な定義にはあまり興味がありませんので、何かしらつじつまの合うようなものを用いれば良いです。

しかし、こういった問題と回答の手続きにおいて、回答者にどの程度の前提知識を要求するかというのは、とても難しい問題です。
ほんのちょっとした知識があれば楽しめたのに、偶然にもそれがなかったために「そんな話知らない!」となってしまうのは、とても残念なことです。

例えば、「なぜアイは目に見えないのか?」といったら、実数の範囲にないためですが、ただ単に、その二乗したらマイナスになる不思議な表記を知らなかっただけでこの問題を楽しめないのは、もったいないことです。
(電気、電子屋さんの方々には申し訳ありません。)


キーワード検索の時代


ところが、現代にはここまでの話をひっくり返す存在があります。
キーワード検索です。

誰もがキーワード検索を利用できる時代では、「ただ、知識がない」ために回答できなかったり、楽しめなかったりするような問題は完全になくなります。
出題者の側も、回答者に知識がない可能性を考慮する必要がなくなります。全ての回答者に、十分な知識があることを前提として良いのです。

これを踏まえると、面白い話がいくつか思い浮かびます。

一つは出題者の視点です。
キーワード検索によってあらゆる知識が得られることを想定した上で、問題を考えることができます。
これは、典型的なクイズやなぞなぞといったものとは、大きく異なった様相を呈してくるでしょう。
あえて名付ければ、クラウド時代のなぞなぞです。

一方の回答者側にも、新しい状況が生まれます。
これまでなぞなぞやクイズを解くのに必要だった知識や考える力に加えて、与えられた問題文の中でこの言葉が重要だと思う力や、良い問いを立てられる力が求められます。

これはすなわち、検索ボックスに良い単語を入力できる力を指しています。
問いの立て方を誤ってしまえば、回答には行きつかないわけです。

『数学ガール』には、下記のような文章があります。

『数学ガール』結城浩
「テトラちゃん、これは x を求めるという問題じゃないよ。つまり、この式は方程式じゃない。」
私たちが目にしているのは、実は x を求める問題ではないかもしれないのです。

これは、決してなぞなぞなどにのみ当てはまることではないでしょう。


終わりに


そこで問題です。

本ブログでは以前、下記の二つのエントリを書きました。

23-seconds blog: 月見坂上り
23-seconds blog: 宇宙で道草

この、二つあるエントリを、一つの名前で呼ぶとしたら、何が適当でしょうか。
また、それは誰から聞いたでしょうか。