それは、主に労力の問題に見えます。あらゆる時間をメモの管理に費やすなら、たぶん、それほど困難でなく可能になるのでしょう。そういった類の難しさなのです。
一方、現代でそれを達成するのは、当時ほどは難しくなくなっているはずです。もっともこれは程度の話ですので、「とても容易になった」というつもりはありません。
これについては、『Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術』に記載があります。
『Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術』(倉下忠憲) |
注意したいのは、二つ目の要素である環境作りだけは簡単にできてしまうことです。見た目の形が整うので、それだけでシステムを作った気分になりがちです。ここで「二つ目の要素」と言っているのは、「どんな状況でもメモが取れ、それを一ヵ所に保存しておけるメモ環境を作る」とのことです。
そのような環境を作るだけなら簡単にできて、そして満足してしまいやすいという話です。
現代の方も、なんだかんだで難しいわけです。
今回は、そんな話です。
長くない文章
少し前に、こちらの記事を読みました。
どうやって会社を知る?就活の情報ソースについてまとめてみた【就活”非公式”マニュアル 第2回】
就活についての話題のようです。
この記事を読んで、ひとつ思い当たったことがあります。
就活のときには、履歴書やエントリシートなど、ちょっとした文章を書く機会がままあります。たいてい、自分の将来のことなどでしょう。
こういった文章を書くのは、わりと大変です。文字数にして、400~1200文字程度でしょうか。そう長いものではありませんが、自分で考えて自分の文章を書くのは、大変なのです。
私が「思い当たった」と言ったのは、このことと、メモとの関連についてです。
そのような文章を書く際に、直接本文を書き始めることをせずに、メモを取るとします。
ここで言うメモは、本エントリ冒頭で述べたものとは少し性質が違い、溜めておいて、いつかの将来に使おうとするようなものではありません。考えを整理するとか、頭の中の作業領域を拡張するとか、そんな雰囲気です。
そのような、すなわち
- それほど長くない文章を、自分で考えて書かないといけない
- そこで、頭を整理するために、メモを書く
言い換えると、この状況でのメモには付随してくる難しいことがあまりなく、しかしメリットは大きいので、積極的にやってみるのが良いのです。
具体的には、今書きたい文章が長くないため、メモの量が増えすぎてしまって整理が大変になることがありません。また、書いたメモはまさに今使われますので、悩ましい保存の問題もないわけです。
したがって、メモの効用がさっぱりわからないとか、メモと情報のことなどまるで考えたことがないとか、そういった人にお勧めするのにはとても適していると思います。
そうして効用が感じられたところから、メモが習慣になっていければ良いのです。
いつだって、新しい習慣を身につけるためには、小さく始めて、小さな成功を積み重ねていくのが良いはずです。メモのときだけ「すぐに効果は出ない」のでは大変でしょう。
情報の配置
このようにメモを書くとき、ひとつだけ、付言しておきたいことがあります。
これを知っていると、その効用をさらに感じられると思いますが、それゆえ、話は少しわかりにくくなります。
一言で言うなら、このようなメモはアウトラインと完全に等価ではない、とでもなるでしょうか。
例を挙げます。
エントリシートを書こうとして、本エントリで述べてきたようなメモを取ってみようと思ったとします。
その人は、例えば次のようなメモを書きます。
- 導入
- 志望動機
- まとめ
ですが、このメモでは、本文を書くのにそれほど役に立ちません。
これに効用を持たせるには、例えば
- 導入
- 私は読書が好きだ
- 志望動機
- 自分から新しい知識を得られそうだ
- まとめ
この意味で、「単なるアウトライン」では終わらないことになります。
あるいは、始めに
- 読書が好き
- 新しい知識を得るのが好き
- サークル活動をがんばった
- 導入
- 読書が好き
- 志望動機
- 新しい知識を得るのが好き
- サークル活動をがんばった
本エントリ後半で私が言いたかったのはまさにこれで、すなわち、「自分で書いたメモの、上にも下にも、階層を追加して良い」のです(もちろん、「同階層」も増やして良いです。)
そして、上下とも、これ以上階層は増やせないと感じたようなら、きっとそれは本文を書き始める合図です。
それは「あ、上にも下にも情報を追加していいんだ」という、ちょっとした気づきではありますが、他方、それを意識できるようになることは、考え方の枠組みが大きく変わることになるのです。
終わりに
そして現代は、本エントリのような類のメモでさえ、容易に保存しておくことができます。
すると、目の前の文章を仕上げるためにも、いつかの将来のためにも、一つのメモを活かしていけるわけです。