2012年11月10日土曜日

思い出したと等価

Clip to Evernote
現在、巷の話題をすべて独占しているできごとがあります。
例えばそれは、下記の記事で紹介されています。

速度、操作性、未来につながる新機能。すべてが新しいEvernote 5 for Mac のベータ版 | Lifehacking.jp

Evernoteのクライアントソフトが、ベータ版ながら新しいバージョンとなったようなのです。
同記事ではMac版について取り上げられていますが、下記の記事ではiOS版についても書かれています。

Evernote 5 for iPhone iPad -Mac版に続き今度はiOS版が大幅リニューアル | ごりゅご.com

私はMacユーザではありませんので、この、世間を大いに賑わせている新しいMac版Evernoteクライアントを使うことはできませんが、それはいずれ可能になることでしょうから、あまり気にしてはいません。

そちらは気にしていませんが、一つ、気にせずに通り過ぎることがどうしてもできない事柄がありました。

各所で言及されてはいますが、例えば下記の記事にそれがあります。
引用いたします。

Evernote 5 for Mac ベータ版のレビュー 1日使っての感想やカスタム方法など | ごりゅご.com
今までは基本的に「検索」を使おうとする場合、自分でキーワードを入力して、目的のものが見つけられなくてもう一回検索して、みたいな手間がかかったりしてましたが、これがちょっと「Google的」になってきました。 
検索キーワードを入力すると、自分のノートの中身を元にキーワードの候補を出してくれる
検索ワードの先読みと言いますか、そのような機能が追加されたとのことです。機能そのものについては、携帯電話の文字入力やGoogle検索などで、多くの人にとっておなじみのものでしょう。特に説明なしで、想像がつくものと思います。
しかし、これが自分のEvernote内を検索する際に行われることからは、文字入力の例とは異なる性質を読みとることができます。

先の引用文の後半では、「先読みされるワードは、自身のEvernoteの中身によって変化する」とのことも書かれています。
すると、出てくるのは、ブラウザのテキストボックスでよくあるような「過去に入力したことのあるワード」ではないことになります。
もちろんそれも出てくるのでしょうが、Evernoteに保存しているノートに関連が深ければ、「過去に入力したことがなくても」先読みで出てくるわけです。

この違いは重要です。
なぜなら、Evernoteは第二の脳だからです。

もう少し正確に言うと、Evernoteの検索語先読み機能は、人間の「思い出す」とか「類推する」という行為を鮮やかに切り取って見せているのです。
もちろん、それが「思い出す」「類推する」のすべてだと言うつもりはありませんが、確かにある一面を切り取っています。

私たちが何かを思い出す場合を考えてみます。
やはり一概には言えないものの、例えば、ある一つのものとその名前を思い出したとして、それをもとに別のことを思い出し、また別のことを思い出し、最終的にまったく関係のないことを思い出した、といったことがあります。

これがちょうど、Evernoteの検索語先読みと重なるわけです。
Evernoteには私たちのすべての記憶が入っていますので、一つ検索語を思いついて入力すると、自分としては思ってもみなかった、しかし自身の「記憶」に関連の深いワードが出現してきます。
それをたどっていくと、最終的にまったく関係のないノートに到達することになるでしょう。そして、思ってもいないノートに到達することは「思い出した」と等価です。

Evernoteの検索語先読みで、私たちは何かを思い出すことができるのです。
人間が物事を思い出す行為が変質している、あるいは拡張されている点で、これは革新です。

「類推する」の場合も、状況はだいたい同じです。

今書いてみて気づきましたが、「類推する」と「思い出す」では、思ってもいない方向に行こうとしているか、そうでないかの違いだけで、現象としては同じなのかもしれません。まったく関係のないことを思い出そうとする、意志の有無だけが違うということです。
(もちろん「必要なことを思い出す」パターンもたくさんありますが、先の例のとおり、今回は除外しています。「思ってもいなかったことを思い出す」ときの話です。)

しかし「類推する」と「思い出す」が同じものを指しているとは、やや直感に反します。
あるいは、「思い出す」が示す範囲がとても広く、「類推する」はそこに内包されているのかもしれません。その場合は、類推でたどり着いた先はものすごい発想などではなく、単に何かを思い出しただけにすぎないことになります。個人的には悪くない結論です。
このあたり、ひょっとすると詳しい人の間ではもう結論が出ているのかもしれませんので、後で調べてみることにします。

この話を踏まえると、Evernoteの検索語先読みでは、類推することと思い出すことが同時に行えることになります。
それは、人間の脳では昔から可能でしたが、ついに第二の脳でも実現したのです。

いろいろ言いましたが、話は複雑ではありません。
Evernote内のノートを元にして検索語が先読みされるのは、人間のふるまいを変質させるほどの、ものすごいことだということです。


終わりに


まだまだEvernoteの話は尽きません。