2011年12月15日木曜日

「2011年の「一冊」を教えてください!」に乗らせていただきます

Clip to Evernote
rashitaさんが企画を発案なさっています。

R-style » 【企画】2011年の「一冊」を教えてください!

本を読み返す、貴重な機会を与えてくださって感謝します。

私が取り上げる本は『EVERNOTE「超」知的生産術』(倉下忠憲)です。
…はい、ご本人です。

しかし、私はこの本からすべてが始まりましたので、ここで書かずにはいられません。
本書は知的生産に焦点を当てて書かれているわけですが、それ以上に、今日の私を派生していく原点になっていますので、そういった観点でも見ていこうと思っています。


「知的生産」の本



まずは、どうしてもこの話題に触れる必要があります。

本作ではまず、「アイデア」と「知的生産」を定義するところから始まります。
そして「その後」、あくまでその文脈に則る形で、Evernoteの紹介が行われます。

すなわち本作は、知的生産について書かれた本なのです。
知的生産にEvernote「も」活用できることが、ここからずっと述べられていきます。


mehoriさんの「知的」



本書が著されてから多少時間が経っています。
その間に、Lifehacking.jpのmehoriさんが「知的」を捉え直そうとする連載記事をスタートしています。

つぶやきっぱなしはもったいない。ログをもつことの知的な戦略 | Lifehacking.jp

この記事でmehoriさんは「知的活動」を
  • ログを残すことで現れてくる個人の活動
と説明しているようです。
他方、倉下氏が言うところの「知的生産」は
  • 人にわかる形でアウトプットすること
です。
これは倉下氏の「知的生産」の方が、能動性・積極性が高いことを示しています。
それらは「活動」と「生産」の差と捉えることもできますが、更にmehoriさんは実例として、
  • 好きなアーティストをよく調べる人がまとめサイトを作る
ことを挙げています。
その点倉下氏は、
  • 自分の頭を使い、オリジナルのアイデアを発信する
と言っています。
以上のことから、mehoriさんが、より広義に「知的」を定義しようとしていることがわかります。

しかしながら、その広義な「知的」を念頭に本書を読み直したとしても、その内容は十分に役に立ちます。
これは、本書が遠い将来まで読み継がれ、色褪せずに影響を与え続ける可能性を示していると考えます。


知的生産の工程



本書では知的生産を
インプット
情報整理
発想・思考
アウトプット
の工程に分けています。

まず重要なのが、そもそも、工程が明確に分かれていることです。
これは、最近の記事である

シゴタノ! —    第1回 アイデア出しの型を身につけよう / ビギナーズ・ハック2nd

の中で、beckさんが述べています。
要するに自分の中で「集める」フェーズと「考える」フェーズが分かれていることが重要だというのが私の経験則です。

インプット



本書ではインプットを「資料」と「着想」に分けています。

注意として、「資料」の内「一般ネタ」と呼ばれるものには、希少価値が少なく、時間の浪費になりやすいことが述べられています。

時間の浪費という観点ではありませんが、mehoriさんも、一時のニュース的な情報をEvernoteに多く入れることへの警鐘を鳴らしています。

象は羽ばたけるか。Evernoteの未来への漠然とした不安と期待 | Lifehacking.jp
全てのウェブクリップ、画像、ファイル、書類と言ったものがEvernoteに集まるのは、それらがストック情報で「たまればたまるほどよい情報」である限りにおいては価値の増加です。しかし一方で、多くのニュース的なデータには利用価値の限界があります。古くなることでゴミ化するデータが、Evernoteのデータベースを汚染してゆくのです。
Evernoteの本質からの視点と言えるでしょう。

Evernoteの本質といえばもう一つ、インプットを繰り返すことで、Evernoteを「知のデータベース」にするという表現がありました。

この「知のデータベース」は、
  • Evernoteをどう使ったらいいのか?
  • 何を保存したらいいのか?
  • Dropboxと何が違うのか?
などの疑問に、一度に回答できる言葉だと思います。

まだEvernoteを使い始めたばかりのころ、本書を読んで一気に使用法が開けていったことは、言うまでもありません。


情報整理



Evernote内の情報整理は、情報を取り出しやすくすること以上に、アイデアの創出を促進することを意図して行います。
ここには、Evernoteに保存された情報は、優秀な検索機能を使用することで(完全に整理されていなくても)取り出すことができるという前提があります。
実際、これまでEvernoteを使い続けてきましたが、取り出せなかったことはありません。不思議と、問題ないのです。

また、分類に関わるノートブックやタグが、後から簡単に変更できることも説明されています。
ここで重要なのは、それらを変更しようと思うことこそが、アイデアであり、革新であるということです。そこには、新たなカテゴリを考え出すには、既存のものをよく理解している必要がある、との考えも隠れているでしょう。


発想・思考



ここでは、KJ法とネタを熟成させることが取り上げられています。
KJ法は、
  • 平たく広がった、一見関連のない情報たち
を相手にします。
ネタの熟成では
  • アイデアの種と、時間の経過
を扱います。
どちらも、Evernoteで管理するのに非常に都合のいい型をしています。
まさにこのフェーズこそが、Evernoteと知的生産を扱う本書の真髄と言えます。
同時に、発想法として市民権を得たはずのマインドマップが、とても小さく扱われていることも、それを示しているでしょう。


終わりに



本書はこれからも読むことになると思います。
素晴らしい企画をありがとうございました。