2012年9月29日土曜日

それはちょうど水のように

Clip to Evernote
iOSデバイスは、様々なアプリをインストールして便利に使うことができます。とても一般的な話です。
同時に、様々なアプリをインストールするのは、iOSデバイスを便利に使うためであるとも言えます。これは単に言い換えただけですので、何も問題はありません。

しかし、アプリの中には、とても「iOSデバイスを便利に使うため」にインストールされているとは思えないものもあります。
これは「役に立たない」という意味ではありません。強調したいのは「便利に」ではなく「iOSデバイスを使う」の方です。

つまり、そのアプリがiOSデバイスを便利に使うためではなく、日常生活を送るために存在しているような状況です。ここでの日常生活とは、「RSSの新着をチェックする」のような特定の目的を持たない、純粋な意味での「日常生活」です。

そんな日常生活にアプリが関わるのだとしたら、それは「アプリケーション」との言葉では表現しきれなくなってきます。もはやアプリではない、ということです。

私にとってのそれは、「FastEver」と「OneCam」です。
すなわち、「FastEver」と「OneCam」はもはやアプリではないのです。

今回はそんな話です。


二つのアプリ


二つのアプリ、「FastEver」と「OneCam」については、今さら私が語るほどのことは残っていないでしょう。
さっと起動してメモをEvernoteに残せるアプリと、さっと起動して写真が撮れるアプリです。どちらもそれなりに歴史がありますので、きちんとした説明はたくさん見つかるはずです。

しかし、私はこれらのアプリをメモを取るためや写真を撮るために使用することが、あまりありません。
確かに、私がアプリを立ち上げた後に取っている行動だけを切り取って見れば、それを「メモを取っている」と評せられることは間違いないと思います。ただしそれは「メモを取るため」とは似て非なるものなのです。

「FastEver」と「OneCam」を、私は日常生活の中で、気づいたときには立ち上げて記録を残しています。感覚的には、記録を残そうと思う前に立ち上げているような状態です。すなわち、先にアプリが立ち上がっているのです。

その理由は、なにせ「気づいたときには」ですので、自分にもわかりません。
二つのアプリで
  1. 記録を残したい
  2. アプリを立ち上げる
ことを意識的に繰り返していった結果、いつの間にか「アプリを立ち上げる」の方が先に来たのかもしれませんし、単にすぐ手元にあるからなのかもしれません。

いずれにせよ、私にとっては日常生活を送ることの範疇に「FastEver」と「OneCam」の使用が含まれていることになり、普通に生活しているだけで自然とメモや写真が残されていくのです。

もちろん、状況によってはメモをとるために「FastEver」を使うこともありますし、写真を撮るために「OneCam」を使うこともあります。そのようなときは、「おお、メモを取るためにFastEverを使っているぞ」といった、ある種の新鮮な驚きがあったりもします。

もしくは、「メモをとるため」には「TextEver」など別のアプリを使うこともあります。
平たく言うと、「FastEver」は使われるのに対して、「TextEver」は使うのです。


飲み物


それはちょうど、生活の中で水や飲み物を飲むことに似ているかもしれません。

のどが渇いた、水が飲みたい、と感じて意識的に水を飲むことももちろんありますが、多くの場合、かたわらに置いてあるそれを何の気なしに飲んでいるものと思います。行動だけ切り取って見れば「水を飲んでいる」ことには違いないものの、それは確かに「水を飲むため」とは異なっているはずです。
日常生活を送ることの範疇には水を飲むことが含まれているでしょうから、普通に生活しているだけで自然と適当な量の水を飲むことになるのです。


テキストアプリ


「FastEver」以外にも、先に挙げた「TextEver」など、Evernoteにテキストを保存できる(おそらく、後発の)アプリはいくつかあります。

ただ、これまでの話を踏まえると、私の中でそれらのアプリが「FastEver」に敵わない、少なくとも同じ路線に乗らないのは明らかです。
他が「メモを取るためのアプリ」である中、「FastEver」だけは日常生活の一部で、もはやアプリではないのです。

昨今よく目にするようになった「コモディティとスペシャリティ」の話になぞらえてみれば、ここでの主張も的外れではないでしょう。
Evernoteにテキストを保存するアプリの間でも、機能や価格などで様々な競争があります。しかし、そこに「FastEver」だけは巻き込まれることがないのです。


終わりに


あえてEvernote自体には触れずに話を進めました。
もちろん、本エントリの話にはEvernoteの存在が大きく関わっています。