2012年2月29日水曜日

四年に一度の話

Clip to Evernote
こちらの記事を読みました。

「携帯電話の電波がペースメーカーを誤作動させる」は、都市伝説。 – すまほん!!

その内容が非常に素晴らしく、私が大事にしていることとよく合致していますので、本エントリでご紹介してみたいと思います。

また、同記事は以下を参照して構成されています。

MobileHackerz再起動日記: 「携帯電話が心臓ペースメーカーを誤動作させる」という話

できるだけ両方の記事に目を通していただくと、誤解が起こりにくくなり良いと思います。
私は前者の記事を先に読みましたので、そちらを基にして本エントリを書きますが、ここには「先に読んだから」以外の深い意味はないことを表明しておきます。


携帯電話の電波とペースメーカー


記事の概要は、そのタイトルがほとんど表しています。

非常に大雑把にまとめると、
  • 「携帯電話の電波がペースメーカーを誤作動させる」ことが実証されたのは、15年も前の話
  • 今の携帯電話は、当時のものより電波の効率が良いため、出す電波が弱い
  • 今の携帯電話だと、現実的にペースメーカーに影響を与えることはない
といったところでしょうか。
(昔の携帯電話の、現在における利用がゼロではないことには注意が必要です。)

ここで一つだけ言及しておきたいことは、「携帯電話の電波がペースメーカーを誤作動させる」ことが完全に常識となってからも、国は継続して実験を行っていたという点です。
無駄と背中合わせではありますが、私は評価したいと思います。

また、たくさんの携帯電話が閉じた空間で同時に利用されることについても、同様に実験が行われており、
「シミュレーション上でも実環境の上での測定でもそのようなことは起こらない」と結論づけられました。
とのことです。

以上の二点をもって、「携帯電話の電波がペースメーカーを誤作動させる」ことは誤りであることが結論付けられます。


結論ではない


ところで、ご紹介した記事では、「それがデマである」ことを結論としてはいません。私が共感したのは、その部分です。

確かに、数字の上では携帯がペースメーカーを誤作動させることはありません。
これは事実でしょうし、「デマ」や「都市伝説」といったビビッドな単語を用いても、恐らく間違いではないでしょう。

しかしこの数字と事実を拠り所として、「電車の中でどんどん携帯電話を使うべきだ!」「都市伝説に惑わされてはいけない!」と言うのは、あまり賢いとは言えません。
(誤解を恐れずに言えば、こういうことを言うと、理系が嫌われるのです。)

もちろん長期的には、「ペースメーカーを誤作動させる」が誤解であることを周知していく必要があるのは間違いありません。
ただ、現状ペースメーカーを使用している方がそのように思っている以上、またそのように思っている方が少しでもいる以上、「都市伝説に惑わされてはいけない!」は該当する方々に無闇に不安を与えるものでしかありません。

これではいけません。数字の上で正しいかどうかは、この場合問題ではありません。


数字と人


私が大事にしているのは、こういったことです。

数学的、統計的に正しいかどうかはもちろん非常に重要で、まずはこちらを正しく証明、実証する必要があります。証明が済んだら、それを正しく理解もしなければなりません。

それは絶対に為されないといけないことなのですが、それと「人がどう考えているか」は別の話です。
人に関わることを行っているからには、そちらも必要になるのです。

一つ例を挙げます。
ここに、「便利なツール」があるとします。そして、それを使うときと使わないときで、何かの作業にかかる時間が短縮できることが証明できたとします。
このとき、絶対にこのツールを使用するべきかというと、私はそうではないと考えます。
たとえ必ず時間が短縮できることが言えても、それを使用した人が「作業が楽になった」と感じられなければ、別に使用する価値はないと思います。
逆に、時間が短縮できるかどうかが不確定でも、実感として「作業が楽になった」と思えれば、そのツールには価値があると考えます。
(ツールの使用に習熟が要るとか、細かい話は置いておきます。)

繰り返しになりますが、数学的な証明も必要で、「それを知った上で」という話です。

ちなみに、私がソフトウェア工学に興味を持ったのも、このようなことを重要と思ったのがきっかけです。


終わりに


本ブログにしては珍しく、少しだけ物議を醸しそうなことを書いてみました。
四年に一度くらいはいいかと思います。